黒ヤギのアイデアスイッチ

【小説家になろう】僕が影響を受けた作品をただベタ褒めするーブレーメンの屠殺場ー

芸術というのは人の人生に影響を与える事があります。

絵画、漫画、音楽、小説ーー

 

それはプロの作品だけとは限りません。

 

今回は僕の心を動かし、人生を変えてしまった無料サイトの素人の小説を紹介したいと思います。

 

小説になろうという小説の投稿サイトの作品です。

↓小説の書き方についてこちらも読まれています

kurogoat.hatenablog.com

 

 

 

小説家になろうとは

小説家になろうは小説の投稿サイトで、読者も無料で閲覧できる日本最大の小説サイトです。
 
最近では「Re:ゼロから始まる異世界生活」、「転生したらスライムだった件」、「君の膵臓を食べたい」など、書籍化、コミカライズ、アニメ化、さらには映画化までする作品も続々と出てきています。
 
その作品数約705000作(2020年1月現在)。
 
それだけの作品があるので、書籍化されていない作品の中にも沢山の良作が埋もれています。
 
しかしその作品数のため、掘り出す事も困難。
 
今回はその中でも僕の大好きな作品
 

ブレーメンの屠殺場

(作者:NiO(参加ニッケル))

 
を紹介します。
 
 

あらすじ

 

 ある所に、鶏みたいな男の子と、猫みたいな女の子と、犬みたいな男の子と、驢馬みたいな女の子がいました。

誰からも必要とされない4匹はひょんなところで出会います。

そこは隔離された空間、『ブレーメンの屠殺場』。

出題されるなぞなぞに答える事ができなければ殺されます。  

『 鉄1000kgと綿1000kg、重たいのはどっち? 』

はてさて4匹は、屠殺されることなく無事にお家に帰れるのでしょうか。

引用:https://ncode.syosetu.com/n9431ct/
 
 

読書感想

総評

真夜中に中学校に忍び込んだ4人の中学生がなぞなぞに答えて生き残ろうともがくストーリーです。
 
……と、ストーリーの良かったところなんかを説明しようと思ったのですが、できません。
 
というのもこの作品、伏線の張り巡らせ方が秀逸すぎるんです。
 
物語の説明をしてしまうと良さが半減しかねない。
 
読み進めるとまるで手品を見せられているかのように心を動かされます。
 
読み終わって全部の種明かしが終わった後に読み直しても見え方が変わって面白い。
 
そして3,4週目になるとその度新しい発見をするんです。
 
物語自体のよさもあるんですが、初見での伏線が回収されていく過程もこの小説のよさを引き立たせていると思います。
 
僕は2016年にこの小説を見つけたのですが、4年経つ今でもちょこちょこ読み直しています。
 
それくらい面白い。
 
ホラーの要素はほんのりレベルですかね。
4人いるおかげで怖さが和らいでいると感じました(全く怖くないとは言ってない)。
 
 

悪い点

ただこの作品のもったいないのは、序盤のインパクトの弱さなんですね。
 
あらすじにも出ているのですが、一番最初、4人が体育館に集められて出される問題に肩透かしを食らいます。
 
鉄1000キロと綿1000キロ、重たいのはどっち?
 
1問目のインパクトとして弱い気がします。
 
小説家になろうは初心者の小説家も多く、実際内容の拙い作品も多いです。
 
なので読者も早い段階で見切りを付けます。
 
序盤になにか面白味を感じないと読み進めないという人が多いんですね。
 
そして登場人物のキャラクターも問題があります。
 
鶏の少年……小鳥遊 東(たかなしあずま)。
身長150センチ程。
自身を超天才と称する鼻にかかる少年。
黒髪をボサボサにしたメガネ姿と容姿には疎い。
 
猫の少女……猫屋敷 西(ねこやしきあき)。
160センチ程の茶髪。
相手のコンプレックスを見抜き執拗に攻撃する2ちゃんねらー(死語)のような性格。
 
犬の少年……小犬丸 南(こいぬまるなみ)。
身長180の金髪。全身から滲み出る威圧感が強く、考えるより先に男女分け隔てなく手が出てしまうオラオラ系。
 
驢馬の少女……驢馬塚北(ろばづかそむく)。
身長190を越える大女。
黒髪のロングストレート。
眠たげな目をして引っ込み思案。
 
この4人が(悪い意味で)癖が強いです。
 
第一印象があまりよくないんですね。
なので感情移入が難しかったように思います(初めて読んだとき)
 
実際に完結した時のブックマーク数も40人ほどだったらしいです。
 
ポイントにすると200ポイント前後ですかね。
 
これは「ほとんど読まれていないレベル」です。
 
それが現在では8000ポイントに迫るほど評価されています。
 
10000ポイントで全作品の上位0.5%なので、相当評価されてることが分かります。
 
読めば面白いけど読まれない作品ですね。
 
 

読みやすさ

作り手側の話になるんですが、伏線を張る小説ってのは小説を書き始める前に周到にプロット(ストーリーの骨組み)を準備します。
 
そしてその設計図通りに小説を書いていくので物語が単調になったり機械的になったりしがちになります。
 
でも、この作品は登場人物がすごくよく動きます
 
言葉も難しくなく、すんなり小説に入り込めます。
 
4人のそばで一緒にいるような感覚。
 
没入感といいますが、それがしっかり味わえます。
 
そして文字数も本編だけだと7万字程度(後日談のようなものが時々追加されてて全体では10万字くらいになってます)。
 
文庫本の1/2~1/3程度なのですらすら読み終われます。
 
その短い作品のなかに面白さが詰まっているので密度が濃かったです。
 
文字数も言い回しも読みやすさとしては十分です。
 
 

まとめ

伏線を楽しむ作品は繊細過ぎて説明をどこまでしていいのか難しいですね。
 
じゃあなんでこの小説を紹介しようとしたんだって話ですよね。
 
これには2つ理由があって、最初に言った
 
いい作品があるのに埋もれてて、その中の良作に触れてほしい
というのが一点。
 
もう一点は
僕がこの作品が好きすぎて、いつか作者に許可を取って漫画にしたい
という野望があるからです。
 
そのために絵描きを始めたような物で、現状では作者に失礼だと思うので僕が絵を描き始めた理由を知ってもらいたかったんですね。
 
人の人生を変えた作品です。
 
ネタバレがほぼ無かったですが時間のある時に良かったら一読ください