黒ヤギのアイデアスイッチ

感謝の正拳突きを1時間頑張って精神統一をしようとした

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精神統一のページを開くといろんな方法があることが分かります。
 
まず目に入ったのは写経。ひとつの事に没頭し、心のわだかまりを消す方法。
 
しかし転職を考え履歴書や職務経歴書を書き続けてうんざりしている今、物を書く事はよりストレスを溜めかねない。今回はパス。
 
次に瞑想。楽な姿勢で目を閉じ、心を無にするか、自分の心を探っていく。
 
これもこれからアルバイトがあるので、目を閉じてて時間が過ぎてしまうといけない。やめておきます。
 
他にも様々な方法が羅列されていたんですが、その中に目が留まる二文字がありました。
 
感謝
 
常日頃から感謝をすることで心のしこりを生ませない方法らしい。
 
今現在モヤモヤしているわけで、解消するのとは違う気もするけど、きっとSEOで上位に載ってる記事だから大丈夫でしょう。
 
感謝に加えて正拳突きもすればダイエットにも効果的だと思い、今回感謝の正拳突きをすることに決め、効果のほどを実証してみます。

感謝の正拳突きとは

漫画HUNTER×HUNTERキメラアント編で出てくるワンシーンです。
 
ハンター協会会長のネテロは46歳の時、自分の実力に限界を感じ、その中で行き着いた答えが「感謝の正拳突き1万回」をすることでした。
 
  1. 気を整え
  2. 拝み
  3. 礼をして
  4. 正拳突きをする
 
ただひたすらにこの動作を繰り返す。
 
 
しかしこのネテロ会長の感謝の正拳突き。最初は終えるのに18時間かかり、終わったあとは倒れるように眠る、という生活を続けていたようです。
 
こんな事、サラリーマンのすき間時間にやるなんて無理ですよね。
 
僕も今日はあと2時間ほどでバイトに行かなきゃいけません。
 
よし!短縮しよう。
取り敢えず時間を決めます。1時間くらいで。そして回数を稼げないので気を整えたり拝んだりの動きを省略します。
 
それじゃただの正拳突きだとツッコミが入りそうですがちょっと待ってください。
 
心の中でしっかり感謝をします。
感謝とは心の有りようです。両手を挙げて驚いたり、ひざまずいて男泣きするといった所作をしなきゃいけない決まりはありません。
 
感謝の気持ちがあればそれはもう正しい感謝の正拳突きです。
 
あまり前置きを延ばしている時間もないのでさっそく正拳突きを始めていきます。
 
 

感謝の正拳突きをやってみた

感謝が主体とはいっても突きの姿勢が悪いと意味がないと思い、YouTubeの動画で確認しながら突きます。
 
腰から腕に力が伝わるように、突く!
 
(ありがとうございます!)
「へっ!」ぺすっ
 
ボクシングの連打のように雑にならないよう、1突き1突きに心を込めます。
 
(ありがとうございます!)
「へっ!」ぺすっ
 
本当の空手なら「ハッ!」と叫びながら打つんだろうけど、そこは気にしなくていいかな。
 
「へっ!」ぺすっ
 
人に手をあげるのもビビる人間が拳を突き出すだけでもたいした事だし、50回もしないうちにみぞおちの辺りが痛くなってきます。
 
「へっ!」ぺすっ
 
「へっ!」ぺすっ
 
 

200回でペースが落ちる

なんとか200回を数え時計を見たんですが、10分も経っていない。
 
早い段階で腕とお腹が痛くなっているけど、水分補給を間に取り、休憩を入れつつ続けました。
 
『……。』
 
なにかが聞こえたような気がしたけど、軽いインターバルを取りながら正拳突きを続けます。
 
「んぐっ!」ぺすっ
 
「ぐっ!」ぺすっ
 
みぞおちと上腕三頭筋の辺りに痛みと重さを感じます。
かなりきつい……
 
『…やめ……よ♪』
 
どこからか聞こえていた音がだんだん大きくなって来ました。
なんとなく軽快な人の声のようです。
 
「んぎっ!」ぺすっ
 
多分400回はやったのかな?もう数える余裕もなくなってきました。
時間はまだ15分を過ぎた辺りです。
 
『……もうやめちゃいなよ♪』
 
今度はハッキリと聞こえてきました。心の声です。頭が止めようとしてきていますね。
 
タバコを辞めようとするときにもよく聞こえてくる「甘い誘惑」というやつです。
 
『これだけ辞めたんだから1本くらい吸っても大丈夫だよ』
『久しぶりに吸うタバコは美味しいよ』
 
その人の1番なびきそうな言葉を使ってあれこれとささやいてきます。
 
『もう十分きついこと分かったからさ♪1時間やったことにしちゃいなよ♪』
 
「……」ぺすっ
 
『読んでくれる人も時間とか回数とか気にしてないから♪面白おかしく記事をまとめたら大丈夫だって♪』
 
「……」ぺすっ
 
『霧吹きで体を濡らして突いたポーズを撮って貼り付ければそれっぽくなるよ♪霧吹きは2番目の戸棚に使ってないのが入ってたはずだよ♪』
 
「……」ぺすっ
 
『最後に「音を置き去りにした」とか言ってさ……』
 
……
 
気付いたら、涙がこぼれていた……
 
 

部屋の片隅で涙を流しながら正拳突きをする小太りのおじさん

 
泣いた。
 
おんおん泣いた。
 
心の声は自分自身が発している言葉。
それが回数を誤魔化せって言っている。
 
散々「使ってないのに使ったように装った記事」を批判し、嫌っていたはずなのに。
そんなやったふりを勧める言葉が自分の心から聞こえて来る。
 
それが自分に効果があると心の中で思っている。
さらにその言葉に心が揺らいでしまっているのが悔しかった。
 
『ほら、このあとのバイトは体を使うでしょ♪疲れたら支障がでるよ♪』
 
「……うぅっ」ぺすっ
 
ーー終わりたい。写真を撮ってごまかしたい
 
『嘘をつくのが嫌ならさ、「1時間しようと思ったけど初心者は20分で限界」ってタイトルに変えなよ♪』
 
「うぐっ」ぺすっ
 
ーーつらい。心の声に従いたい……
 
『やめた方がいいって……部屋の隅っこで泣きながら正拳突きをする小太りのおっさんって画的にヤバいよ……』
 
「ん゛ー!」ぺすっ
 
『字面だけでも十分やばいって……もうすぐ35だよ?落ち着こ?最初から10000回を妥協してるんだから今さら頑張っても無意味だって……』
 
「ん゛ーっ!!」ぺすっ
 
『いやいや……』
 
「う゛ーっ!」ぺすっ
 
『……』
 
「う゛う゛ーっ!」ぺすっ
 
 
 
 
 
 
『……なんでやめないの?』
 
ーー変わりたいからだよ!辛いことから逃げるの自分を変えたいからだよ!
 
ぺすっ
 
『それなら分かった♪とりあえず休憩を多く取ってさ♪まずブログに載せる画像撮るのに休憩をとろう♪』
 
ーー画像もいらない!やったとかやってないとかそんな証明どうでもいい!
ただ、最初に自分と交わした約束だけは守りたい!
 
ぺすっ
 
『それなら僕の声も君の声だよ♪僕との決め事も君自信の約束だよ♪』
 
ぺすっ
 
『そんな無意味な事に必死になっても誰も興味ないって……やめとけって……な?』
 
ぺすっ
 
『…………』
 
ぺすっ
 
『……もういいや。めんどくせ』
 
ヘッドホンから聞こえているような大音量の心の声は気付いたら聞こえなくなっていました。
 
ーー僕は、心の声を置き去りにした
 
 

正拳突き1時間

福岡はラーメンが有名だと言われている。
 
ぺすっ
 
でも違う。
 
本当は福岡はうどんの県なのだ。
 
ぺすっ
 
牧のうどん。
コシの全くない出汁を吸いきったくたくたの麺。
 
歯茎ですら噛みきれるこのうどんこそが福岡の味。そして福岡の魂。
 
その事を伝えたくて心を乱していた。
 
ぺすっ
 
何が不満なのか分からない。
 
僕はみんなにうどんを広めたいのか。
 
うどんを広めるだけの人気がほしいのか。
 
うどん好きで集まって小さな同好会で楽しみたいのか。
 
ラーメンを批判したいのか。
 
ラーメンに賛同している人を改心させたいのか。
 
ぺすっ
 
どうして心が乱れているのか分からない。
 
分からないけど、それで自分の意見を押し付けて1人の人間を傷つけてしまった。
 
どうしたらいいか分からない。
 
まずは自分が変わりたい。
 
ぺすっ
 
時計を見ると1時間を過ぎていた。
僕は正拳突き1時間を達成した。
 
 

正拳突きの果てに

人は簡単に変わる訳ではない。
たかが1時間空気を小突いてただけで変われるのなら、空手家集団は量子コンピュータを越える超人になってしまう。
 
1時間正拳突きをやったところで残るのは腕と背中とお腹の激痛くらいだ。
 
でも、すぐには変われなくても「すぐに投げ出す自分」からは成長できたと思う。
 
急に変われなくていいから一段ずつ階段を昇っていこう。
 
「……あ!」
 
シャワーを浴びていた時に気づいた
 
「そういえば途中から全然感謝してない!」
 
改題
\ただの正拳突きを1時間やっても心を乱されるからやめた方がいい/
 
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